練習曲と私

練習曲・・・練習曲(れんしゅうきょく)とは、楽器や歌の演奏技巧を修得するための楽曲。フランス語風にエチュード(Étude、「学習」の意:英語のstudyに当たる)ともいう。技巧の習得のためだけでなく、音楽作品として充実した内容を持つものもある。

「引用」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。
2019年7月20日 (土) 23:00 UTC
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%B4%E7%BF%92%E6%9B%B2

練習曲と聞くと、とにかく「難しい」、「指を速く動かすためだけの曲」というイメージがあると思いますが、私はそれだけに留まらない魅力と発見が詰まっていると思っています。
 ピアノのための練習曲はたくさんの作曲家が作曲しています。指を強く早く動かすためだけの練習曲も存在します。ハノンやツェルニーが代表とされるでしょうか。ロマン派以降になると、単なる指の動きのための練習曲ではなく、音楽的に充実し、魅力にあふれた練習曲がたくさん生み出されます。ショパン、シューマン、リスト、ブラームスといった作曲家が、近現代になると、ラフマニノフ、スクリャービン、ドビュッシー、とかなりの作曲家が多くの練習曲を作曲しています。広義に言えば、変奏曲という形式も練習曲の意味合いを持っています。そうなると練習曲に当たる曲はかなりの数になります。

 なぜ作曲家は練習曲を作曲したくなるのでしょうか。
 それは素晴らしい演奏家の演奏を聴き、感銘を受けたからです。素晴らしい演奏や作品を聴き、誰かにこの衝撃を伝えたい、自分にも同じようなことが出来ないかと自問自答し、生まれてきたものが練習曲なのです。それは言わば、自分への挑戦、作曲家としての腕の見せ所なのです。

 このように作曲された練習曲は、そのまま演奏家の腕の見せ所となってしまっています。
(つまり、やはり難しいということです。)

 それでも私は、高い山を見るとどうしても登りたい気持ちになってしまう性分のようで、練習曲に惹かれてしまう気持ちが収まりません。作曲家が意欲を持って生み出した作品と対面して、作曲家がみた景色を少しでものぞいてみたいと思うのです。興味が高じてついには私の大学院の修士論文のテーマにまでなってしまったというエピソードも。

 というわけでこれからも弾ける限り、練習曲に取り組んでいきたいと考えています。ただいまネタを仕込み中です。少々お待ちください。 


 以下の動画は以前に収録したラフマニノフ作曲の『音の絵』という練習曲集の中から、Op.39-6という曲です。よろしければ練習曲ならではの高揚感という醍醐味を味わってみてください。


ピアノを始めるときのピアノの選び方

 お子さんの生徒さんの中で、ピアノを始める際にどんなピアノを買ったらいいかをよく聞かれます。ピアノはいざ買うとなると場所も取りますし、音が出るのも気になります。せっかく良いピアノを買ってもすぐやめてしまうことになったら勿体ないですよね。どのくらい続ける気があるか、あるいはどのくらい続けられそうかを見極めながら、どのピアノが今一番合っているかを判断するとよいと思います。

◆ピアノの種類◆
①グランドピアノ
②アップライトピアノ
③電子ピアノ
以下でそれぞれの楽器について説明していきます。

 ①グランドピアノ・・・もしご予算に余裕があり、おうちが大きくてスペースが有り余っている方は迷わずグランドピアノを選んでください。グランドピアノは音の響き方や鍵盤に触って音が出るまでの感覚が一番自然です。これ以上のものはありません。(もちろんグランドピアノの中にもグレードはありますが。)

 ②アップライトピアノ・・・ピアノを長く続ける気持ちがあり、電子ピアノには抵抗がある方はアップライトピアノが良いと思います。アップライトは壁にくっつけて設置するのでスペースはそこまで取りません。それでいて、弦を響かせて音を鳴らす感覚を味わえます。グランドピアノほどの迫力は出せませんが、ピアノを専門で目指すということでなければバランス良く機能を兼ね備えていると思います。

 ③電子ピアノ・・・コンセントにプラグを差し込んで音が出るピアノです。スペースはアップライト同じくらいで、価格によって搭載されている機能と音色の再現性が変わってきます。電子ピアノは極めてピアノの音に似せた電子音ですので、生の音には敵いません。ですが、電子ピアノにしかない良さがたくさんあります。例えばピアノ以外の楽器(オルガンや弦楽など)の音を出せたり、気軽に自分の演奏が録音出来たり、電子ピアノ内蔵のピアノ曲を聴いたりすることができます。いつまでピアノを続けるかわからない、とりあえず始めてから様子を見たいという方は電子ピアノを選ぶとよいと思います。 
 次回の記事で電子ピアノを詳しく取り上げたいと思います。


音を間違えないようにするには。

 ご自宅で練習している時にどうしても音を間違えてしまって、なかなか直せないということはありませんか。間違えてしまうことはわかっているのに、何度も繰り返してしまう。指が間違えた音を勝手に弾いてしまう。
 それは間違えた音が脳にインプットされてしまったからです。脳内に一度インプットされた情報はなかなか修正することができません。インプットするために使った時間の倍くらいの時間を使って、正しい情報をインプットし直さなければいけなくなります。できれば避けたいですね。

音を間違えないためのたった一つの方法があります。
最初から間違えた音を弾かないことです

 ではそのためにはどうしたらいいのでしょうか。
 
 最初に楽譜を見渡した時に、すぐ弾いてみたくなる気持ちはわかります。すぐ理想のテンポで弾きたくなる気持ちもわかります。
 でもぐっと我慢して下さい。片手ずつでも両手でも構いません。ワンフレーズずつ(メロディーを一息で歌える長さ)練習していきます。
 重要なのは指使いです。指使いを考えることは音楽を考えることでもあります。そして間違いを弾かないための大切な方法です。書いてある指の番号は音と同じぐらい大切な情報ですので、絶対見落とさないようにしましょう。
 指使いを守って弾くと手のポジションが自然と決まってくると思います。どの音で移動するのか、手をどのくらい開く必要があるのか、そのような動きの流れを、ゆっくり弾きながら確認していきます。ワンフレーズずつです。
 もし間違えそうになったら、すぐパッと弾くのをやめてください。危ないところでした。良い動きの連続でいつも進むようにしてください。

 慣れてきたら少しずつテンポを上げていきます。そのフレーズに余裕が出てきたら、次のフレーズに進みましょう。とても地道ではありますが、間違えを直す時間に比べたらなんてことはないです。

 私が大学院生だった頃に、ルース・スレンチェンスカさんの公開講座を受講したことがあります。彼女の練習方法はワンフレーズをメトロノームを40に合わせて弾いて、その後1ずつ上げて弾いていくのだそうです。41、42、43・・・気が遠くなります。
でもこの練習をすればどんなフレーズも絶対に弾けるようになるそうです。
 スレンチェンスカさんは現在95歳で、今もなんとyoutubeで演奏をあげています!驚異的ですね。よかったらご覧になってみてください。


ピアノは何歳から始める?

 小さなお子さんで幼稚園や保育園の先生がピアノを弾いているのに憧れて、私(ぼく)も弾いてみたい!と言うことがあると思います。そんな時に一体いつから始めるべきなのか迷われると思います。

 ピアノに関わらず、広く音楽に親しむのは0歳から出来ます。子供向けのコンサートに出向いたり、音楽に合わせて体を動かしてみたり、色々な楽器の音を聴いてみたりすることは、どんな小さいお子さんでも記憶に残るものです。その経験の中で特定の楽器に興味を持ったり、歌うことが得意なんだと発見することもあります。

 ピアノに興味を持って、いざピアノを習いたいという時には、クリアしておきたいポイントがいくつかあります。
①椅子にしばらくの間座っていられること
②平仮名がある程度読めること
③鉛筆で〇が書けること
④音を自分で出してみたいという強い気持ちがあること

 この4つが揃うのは、お子さんによって時期が異なると思いますが、概ね4歳~6歳頃だと思います。早くからピアノを始めることは出来ますが、3歳から始めて1年かかることが、5歳から始めたら1ヶ月で達成してしまうことも多々あります。そうすると掛けた時間もお月謝代ももったいないことになってしまいかねません。
 一方で最も大切なのは、④の音を出してみたいという気持ちです。気持ちが強い時に始めるのが一番の上達に繋がります。是非お子さんの興味の度合いと成長の度合いとの兼ね合いを見ながら、ピアノを始める時期の検討をしていただければと思います。


スケールの練習の重要性

 新型コロナウイルスの影響で、コンサートの仕事がなくなってしまい、練習する目的を失ってしまったので、ここ1か月余は普段弾かないような曲をパラパラと弾いていました。
先日のオンラインコンサートでベートーベンのトリオ他を演奏することになったため、ちゃんと練習しようと思ったら、鍵盤に指が入らない!・・・正確に言えば弾けていないわけではないのですが、響きのある音が出ていないのです。次の日には指と指の間の筋肉痛が発生しました。ここの筋肉が落ちていたようです。

 練習を怠ると筋肉は落ちる

 ロマン派の曲を演奏するときは感情を表現することが先に出るので、指や手の状態は後回しにされてもどうにか表現できるかもしれないけれど、古典の曲はそうはいかないようです。第一に曲中に音階(スケール)が多いです。そして、バロックと比べてと音域も広いので、結構ダイナミックに音階が曲の中に展開されています。自分の手の都合で音階にむらがあったりころがっていては古典の美しさが表現できないですよね。

 音階を弾くときはほぼ必ずお隣りの指を動かすことになるので、指の分離がとっても必要になります。筋肉が落ちていると指の動きが鈍り、分離もおぼつかず、鍵盤をしっかりタッチできないことに繋がっているみたいです。

 ハノンにも音階の練習はありますが、指使いがパターン化されているため、楽曲の中で音階を弾くということと別物に感じます。ハノンやエチュードに加えて古典のソナタを基礎練習に入れる必要がありそうです。こうなると、基礎練習に果たしてどのくらい時間がかかってしまうのでしょうか・・・!

音階の練習はすべての表現につながる!